疑いようのない愛が横たわっていて、坂田銀時はそれをただ見ていた。彼の日常は淡々と時に激しく過ぎ、彼はそれを享受した。彼は愛について少し懐疑的なところがあった。その実、彼の根の部分にはしっかりと愛が存在していた。彼はそれの感触を時折ひっそりと確かめた。そうして息をした。彼はまるで孤独ではないのを彼自身は嫌という程知っていた。孤独だったら良かったなどとは考えなかった。何故なら昔一時本当に本当に孤独だったため。そして孤独を常日頃口にはしないもののずっと感じ続けてるんだろう相手を見続けた日々があったため。彼はその彼を救いたかったのかもしれなかった。今となってはわからない。ただそれはどうしようもないことのような気もしていた。彼はとりあえず今を見つめている。そうして、ありありとそこにある愛を見つけ、見ていた。気恥ずかしいような気もした。だが悪くない。どうして自分が生きているのかの理由なような気もする。彼はその愛を向けてくる彼ら彼女らを護りたいと思っているし護り抜くと決めていた。諦めかけた瞬間もあったがそれは護ると決めていたことの裏返しでもあった。彼は木刀を手に取り戦い続けた。そうして日々を怠けだらしなく過ごしてきた。それなりに働きもした。日々の飯を食べることは重要なことだった。そして共に食べる仲間も大事なものであった。それは疑いようもない。彼は自分自身のために自分のエゴで様々な人を、ものを、ことを、護ってきた。彼の周りには似たような信念の者が集った。坂田銀時は彼らとの日々が好きだった。好きである。好きであると認めざるを得ない。彼は好き嫌いの感情が希薄であった。優先度が低いとも言える。それでもきっと護りたい理由は。言うまでもないことだった。
彼に向けられた愛を彼は受け入れた。降参だった。
そうして時々銀時は、彼と彼女の頭を撫でる。
「どうしたんですか、銀さん」
「いんや」
「銀ちゃん、今日の艦内食、カレーだって」
「あーもう腹へったな、大盛りで食おう」
「サラダとかも付けてくださいね、栄養のために」
「へーへー」
窓の外には宇宙が広がっている。彼らはそろそろ、故郷へ還るところであった。