乗り上げてきた新八の髪を撫で、額に口付けし、あやしていると、新八からもあちこちにキスを降らされ、鼻に齧り付かれたあたりでコイツめ、と思い、唇を奪った。手をしっかりと互い握り締めて、絡め合い、時折擽る。柔らかい口付けから角度を変えて深いものにし、舌を侵入させた。新八は薄っすらと瞳を開けて、受け入れる。そうして深く、長く口付けていると、いたく気持ちが良かった。ようやく唇を離すと新八は口端から垂れた涎をぐしり、と拭い、ぽすんと胸に倒れ込んでくる。
「新八、酔ってるアルな」
「ん、ああ」
対面でテレビを眺めていた神楽がこちらを向いて言った。新八の顔はキスの余韻もあるが、ほんのりと紅く染まっている。ううー、とぐずるようにごしごしと頭を擦り付けてきた。
「酔ってません」
「酔ってんじゃねーか」
「じゃあ、酔ってます」
随分と潔い。神楽がソファから立ち上がりこちら側に回ってくる。それからよしよしと新八の頭を撫でた。
「新八、吐きそう?」
「ん、もう、結構吐いたから大丈夫だよ、たぶん」
「そりゃあ、さっきあんだけ吐かしたからな、俺が」
酔っ払って帰ってきた新八が苦しそうにしていたので、厠まで連れて行って介抱したのは自分だ。その時口内に指を突っ込んで吐けるだけ吐かしたから、出るもんももうないはずだ、多分。
その後ソファに座ると水を飲んで戻ってきた新八が乗り上げてきて、今に至る。
新八が神楽の頬に手をあてて、口付けしたそうに首を傾げた。
「キス魔か」
「ちゃんと口ゆすいだんだろうな」
「ゆすいだよ」
じゃあ、いいや、と言って神楽の方から口付けた。そのままくちゅくちゅと舌を絡ませ合って、気持ち良さそうに二人とも目を閉じている。
ぷは、と離した唇同士から、糸がそっと垂れて落ちた。
「銀ちゃん」
神楽が俺の頬にキスを降らした。お返しにこっちも頬にキスを落とす。柔らかい。
眠りそうな新八の頭を撫でるといやいやをするように頭を振られた。したいです、と呟く。ナニを、とは分かり切っている。
「もう寝た方がいいんじゃねーの」
とは言いながら首筋を撫で、鎖骨を露出させて舐めた。そのまま服を脱がしていく。
新八のよく鍛えられた腹筋に舌を這わせた。熱っぽい吐息が上から聞こえる。
既に勃ちあがりかけたモノが袴を押し上げているそこを布越しに撫でる。撫でたり柔く揉み込んだりしながら聞いた。
「お前さァ、さっき吐かしてるときに、もう勃ってた?」
「……っ、う、」
見上げると罰が悪そうな顔がそこにあって、笑った。だって、銀さんが、と新八は言う。
「口に指、突っ込むから」
「それは吐かせるため」
「でもアンタ、途中から明らかにやらしく触ってきたじゃないですか」
「そーか?」
じゃあ無意識、と言うと呆れた、と返ってきた。
「銀ちゃんの変態」
神楽もノってくる。二人とも笑っているから、怒っているわけではなさそうだ。
「口に指突っ込まれて勃たせてるコイツもよっぽど変態じゃねェか」
責めるように先端をぐりぐりと苛めると新八は気持ち良さそうに喘いだ後、俺の触っていない方の指を掴んだ。そのまま好きにさせていると、熱い咥内に誘い込まれる。ぴちゃぴちゃと音を出しながら猫のように舌を動かしてゴツい大人の指を舐め始めた。かわいい。
「んん、ふ、はぁ……ぎんさんの指、好きれす」
「どーも」
撫でるように舌を摘まんで擦ってやる。左手で触っているモノの大きさが増した。
床に座って様子を眺めていた神楽がとろりとした目を向けてくる。
「銀ちゃん、私も」
「ん、……場所移動するか」
ソファの上じゃ大人三人は狭すぎる。面倒だから新八をそのまま抱え上げて立ち上がる。特に抵抗されずに首に腕が回された。開けっ放しになっていた寝室に入り、寝ようと敷いていた布団の上、そっと新八を下ろした。
「神楽ちゃんは?」
「ん?」
振り返るとソファの前で待ち遠しそうにこちらを見上げる子兎が一匹。仕方ねぇなぁ、と戻って抱え上げると神楽はにししと嬉しそうに笑った。はいはい、かわいいこった。
下ろすと神楽はさっそく衣服を寛げて、大きく育った胸を露出させる。そうして勢いよく新八に抱き着いて二人揃って倒れ込んだ。
「なにしてんだ、お前ら」
「こうすると新八の反応おもしろいから」
「神楽ちゃん……」
重い二つの山に下敷きになった新八は困ったようにもがいている。抱き着かれた反動でちょっと眼鏡がずれていた。
ショーツ一枚姿の神楽は太腿で器用に新八のそそり立ったモノを挟んでいじめた。えろい光景を眺めながらとりあえず着流しを脱ぐ。そういえばまだ風呂に入ってない。……まぁいいか。
「神楽ちゃん、袴、汚れちゃうから……」
「今更ダロ」
「そうだけど」
明日洗濯する時きまずい……と言いながら逆らえないように腰は振っている。神楽もイイトコロに擦れて気持ち良さそうに喘いでいた。
「まって、服、脱ぐ、から……」
新八の制止で神楽も止まって、下から這い出た新八がもどかしそうに袴と下着を一気に脱ぐ。新八のモノがふるりと外気に触れた。
「ん……、ふたりとも、恥ずかしいからあんまり見ないでよ」
「いやぁ、りっぱになったなぁと思って」
「うんうん」
「やめて……銀さんも、もうソコ苦しいでしょう?」
胡坐をかいてる俺の股座を見て新八が言う。正直ほとんど触れられていないにも関わらず、そこは痛いくらいに張り詰めていた。
「まあそうだけど」
「ほら」
会話してる間に神楽がショーツを脱ぎ捨てている。綺麗な身体だな、と見ていると俺の正面に来て身体を挟むように座り込まれた。対面座位の姿勢だ。銀ちゃん、とねだるように唇が降ってくる。
「あたってますケド」
「あててんのヨ」
「オラ」
「あっ」
身体を揺らすと神楽が喘いだ。そのまま揺らし続けるとそのうち神楽の内太腿が痙攣して、顔を真っ赤にしながら首元に縋り付いてくる。
息を吐いて新八の方を見ると、ぼうっとしながら片手を濡らしており、大体を察する。神楽の方に夢中になっていて気が付いていなかったが、どうやら俺達を見て自慰したらしい。
「新八、次、お前」
神楽の頭をぽんぽんと撫でながら言う。気怠そうに神楽も顔を上げて振り返り、新八の方を向くと、察したようににこりと微笑んだ。ぞっとするほど美しい大人の笑みだ。
「ふたりとも勝手に盛り上がって……ずるいですよ」
「ごめんな」
神楽が退いて、おずおずと新八が前に来る。一度抜いたため萎えたモノを掴んで扱き上げる。徐々に硬度が戻ってきたのを感じて、一度止めて自分の服のジッパーを下げた。前を寛げて、自分のモノを取り出す。新八のモノと重ねて、もう一度扱き上げた。
「あっ、あっ、あっ、んっ、はぁ」
「……はぁっ、」
新八の手に頬を挟まれて顔を上げると、口付けられた。神楽もだが、全員キスが好きだ。単純に気持ち良いから。愛おしいから。
「ん、ふ、うっ、あっあっああっんっ」
扱くスピードを上げると唇が離れて、より高く新八が喘ぎ声をあげる。喘ぎ声も聞きたいがキスもしたくて、迷った末に、唇に齧り付く。湿った唇同士が合わさる。きもちがいい。きもちがいい。
達しそうな寸前に亀頭を抉ると新八は涙を浮かべて、勢いよく果てた。
息を荒げる真っ赤な顔が可愛らしい。
神楽が近付いてきて、
「新八、気持ち良かった?」
と、彼の頬にキスをした。新八はこくりと頷き、神楽の頬にキスをし返す。
「銀ちゃんも」
唇が近付いてきて、合わさる。舌を差し込んで深い口付けを味わっていると、まだ達していない俺自身に気付いた神楽が細い指を這わしてきた。扱かれて、割とすぐに果てる。
「っ……、ハァ」
ゴムをつけてないから全員手がべたべただ。舐め取ろうとする神楽を止めて、先に風呂に入るように言った。下着を着けて服を持ち風呂場に神楽が向かったのを見届けて、新八に目を向けると、全裸のまま布団の上で今にも眠りそうにしていた。
「新八くーん、おふろ」
「……はい……」
だめだ、寝るな、こりゃ。せめて風邪を引かないように掛布団をかける。ティッシュで自分の分と、新八の分も慈悲で拭ってやった。ありがとうございます……とふにゃふにゃの声で礼を言われる。はいはい、と返して寝かしつけると、すぐに寝息が聞こえてきた。こいつ、眼鏡だけはちゃんと外して枕元に置いてやがる。
ふあぁ、と欠伸が漏れた。神楽が風呂から出たら、自分も浴びてそれから寝よう。
夜が更けてゆく。