「地球に行きました饅頭」なんてのを売店で買って、今年は、そう、まあこの日付でもいいかとてきとうに立ち寄ったので、この饅頭は現地調達になったのだ。てきとうに空いていたロビーの椅子に腰掛ける。紙の包装を雑に破いて箱を開ける。それで、現れた十五個入りの饅頭の一つを手掴みして口に放った。気付いたら三個目くらいの時に新八が横に来て、ひょいと手を入れて一個を取り出した。それを大事そうに少しずつ齧っている。神楽は、今年は、どうにも予定が合うかわからない。四方山話をして時間を潰していると、ゲートから少し大人びた神楽が帰ってきて、銀ちゃん、新八、と俺達の名を呼んだ。たまたま集えたので三人並んで饅頭を食べる。萩は遠いから此処が墓場の代わりだった。誰の墓かは色々ある。一応、本物はあの塾の跡地に作られてあるが。二つ並んで。それで饅頭を食べていると俺達の一応の「終わり」のことも思い出して、こんな端っこのエピソードについては秘密になる。さらば週刊連載。なんかまだ映画があるらしいけど知らない。アニメの話だし。
食べ終わると各自解散になるから、神楽はまた数日えいりあんはんたーになるための講習を受けに星を出るのでその買い出しに行った。ついでに姉御にも会うネ、とも言っていて、じゃあまた会うかもね、と新八が笑っていた。新八とは昨日は二人がかりで大工仕事をこなしたが今日は別々で行動していて、俺は一人で万事屋の仕事を済ませたし新八は道場で鍛錬と指導をしていたらしい。えらいこった。そうして別れはしたが別れ際に新八が夕飯食べましょうよ、と誘ってきて神楽もそれに嬉しそうに乗ったので俺もうんと答えて神楽とは違う買い出しに行くことにした。パチンコ行ってからでもいいか、と思っていたが素寒貧になったら怒られるで済まなそうなので素直にスーパーまで足を向ける。原チャリに乗って町を走っているとつい第一話のことを思い出して、俺も大先輩になったもんだな、なんて回顧する。歳をとった。
そうしていつまでも続く日々がこの原稿の斜め下に描かれていてもインクはつかないから、この話はここで終わりだ。
ターミナルのあの場所で松陽は笑っているかは知らねぇが、こんな日々をまぁ見ていてくれ。