知らぬが仏で君はかわいい

機械だった時の記憶があって、だから何だという話で、こいつの師は不死身だった時の記憶なんかがあるって話だから、それに比べればまあ、普通なんじゃないか、なんて嘯いて思う程度に茹った頭が振る腰の速度に合わせて揺れる。とめどなく快感を与えてるのが相手なのか自分なのかわかんなくなって、恨みがましいくらいにきもちいい。結腸の奥がとっくの昔に開かれて、ずこっずこっと遠慮なしに穿たれる。その度にわけわかんないくらい気持ち良くなって、ぎんとき、ぎんとき、と縋り付くように名前を呼んだ。俺を抱く時の銀時は存外静かで、慈しむように俺を見ていて、そのくせプレイはドSだから、俺は俺が喘ぐ声ばかり聞いていつも恥ずかしくて仕方なかった。気付いたら舌を絡めて口吸いをしていて、制服のボタンが外されて乳首を虐められて、たまらなくなって下を押し付けたら焦らすように撫でられてムカついて、舌を少し、ほんの少しだけ加減して噛んだらまだ余裕あんじゃんとかなんとか言われてなんだか怒らせたのかスイッチを入れてしまったのかガチャガチャとベルトが外される音が響いてそれから、も、思い出せない、とにかく自分からおずおずと跨って位置をあわせて挿入れさせられた、自重で落ちてく俺を見てこいつが笑う、その顔が、好きで、この対面座位の体位が好きだった。すき、くるしい。ずこっずこっ。奥を突かれるのが止まらなくて、むり、狂う、狂う。
「きも、ち、やっ、やだぁっあっ、アッアッ、ああっ! おく、やめっ、んんっ、……ん、? ひゃっ、な、そっちじゃな、あ、あああああっ! ああっ、ん、ンンアッ、あ、は、あ」
前立腺虐めないで、なんて言っても聞かないのがこのSで、わかってて泣き喘ぐのがMにされた俺だった。断じて生来のものじゃないと主張する。それで調教された俺はもうすっかり腫れぼったくなった前立腺にぐりぐりと虐めを施されるのが癖になっていて、これをされると甘イキを何度も繰り返す。捏ね回すようにされるともう収縮する中がうねって仕方がなくて、嗚呼、性器にされている、と感じてまたイく。俺の身体はもう人間の躰で、機械の躰じゃない。俺と銀時は同い年だし、同じ学校に通っていて、見知った奴らが大勢傍にいて、みんな何かしら覚えていて、当然のように俺も銀時も覚えている、人間と機械だったこと、週刊連載だったこと、俺が乗っ取ろうとしたこともそれから失敗したことも磨き直しを赦されたことも全部全部悔しいことに俺がこいつを好ましいと想っていたこともそれから紆余曲折あって俺達はなんだ、なんかイイカンジになってでも人間と機械だったから別にそういうことは一度も行われずに終わったことも事も無げに忘れずに覚えていた。だからこんなことになったんだ、というのは論理的な解だった。こいつはそれはもう丁寧に俺を開発した。草木が成長するのを手入れしながら喜ぶような調子でそれはもう楽しそうに開発した。おかげで俺の身体はもうあらゆる場所と方法で快感を得られるようになっていた。というか、まあ、銀時に触られるだけで俺は、気持ち良いんだが。
ずっと揺さぶられ続けて、気が遠くなりそうになる。銀時はもう二回俺の中に出してて、そろそろ終わってもいいんじゃないだろうか、とぼぅっと思うのだが、力が抜けて動けない、し、気持ち良いからやめてほしくない。ぎゅう、と銀時の身体を抱き締めた。俺を苛むような動きじゃなくて、心地好く安らげようとするような動きとテンポなのも悪い。銀時は楽しいのだろうか、これ、と考える。

その時の俺は忘れていたのだが、銀時はSで、だから俺が「きもちよすぎてたまんない♡やめてほしくないもっとほしい♡みてェな顔と声して喘ぎまくってる姿見てっと興奮するから飽きない」らしく「だからずっと見てられる」そうでようするにめちゃくちゃS的に楽しんでいたので俺は強かに奴の脛を蹴った。
今度する時は目隠しプレイにしてやろうと胸に決めた。勿論目隠しするのは兄弟の方で。