私に愛を

こいつが俺を誘い込むために全力を出して色香を放出させているのだ。であるから、これは、致し方のないことで。
(馬鹿やろう、これは同情なのか。こいつが愛を教えてくれなんて言うから、それで)
(これは夢だ。)

「俺に愛を教えてくれたのはあんただぜ」
「いいえ、君は最初から持っていました。私は、ほんの少しの刺激を加えただけ」
「……あんたは、初めから持ってないと」
「持ってないし、知らないんです」
「嘘だね」
「何で」
「こんな、あったけぇのに……」
「君がいるから。お前がくれたんですよ」

「銀時、もう一度」
「夜が明けたら」
「お別れです」
「……」
「最後とは言いませんよ」

とろとろにやさしく口付けた。ほとんど欲というより愛のかたまりでできた性交だった。ほんの少し嘘が混じる。背けてきた欲をわざわざ引きずり出したのは本人だった。熱に浮かされてこれは夢だと考える。実際夢なのだろうから、朝が来たら、ひとりで少しだけ泣こう。