わけわかんなくてめちゃくちゃ

類の嘘泣きはよく見ている。大体よよよ……とか言いながらわざとらしく泣き真似をする三文芝居だ。本気の泣き顔などそうそう見たことがない。
はずだった。


類が泣いているのに、腰を止めることができない。類が泣いている、から。

「あ、あああん、んっ、や、はぁ、やらっ、ああっ!」

類の弱いところをつい重点的に狙ってしまう。突くたびに類はぽろぽろと涙をこぼして、嬌声を口から吐いた。ぞくぞくと快感が腰からせり上がってくる。これだけの天才をこれだけ乱しているのはオレなのだと、止まらない充足感が湧いてくる。類のことを、普段は笑顔にしたくてたまらないけれど、今だけは、類のことを泣かせてしまいたくてたまらない。オレだけの類。

「やっ、あっ、あっ、ああっ」
「……類、つらいか?」
「んんっ、……だいじょー、ぶ」

だから続けて、というように、ぎゅっと腕を掴まれる。いやいやをするように首を振るものだから、湿った髪が左右にパサパサと揺れた。
こうして気持ちよさが許容値を超えて泣きだした時の類は、言葉も仕草も、少し幼い。「気持ちよすぎて、思考が追いつかないんだよ」と冷静な時の類は言っていた。正直言って可愛くてたまらない。
ぐずる子どものように泣くくせに、受け容れるか所はキュッ、とオレを締め付けてくる。そのギャップにクラクラする。

「やめ、ちゃうの、つかさくん……?」

少し考え事をしていたら動きが止まっていたらしい。不安そうに類が見上げてくる。この上目遣いにもドキッとくる。可愛いの塊かお前は。

動きを再開しようと無言で腰を引いて体勢を整えると、何を勘違いしたのか、「やっ、」と強く拒絶の言葉を吐いて、類は縋るようにオレの身体を挟んで脚を絡めた。

「ゃ、だ……ぬいちゃや、だぁ…………」

またキュッとここを締め付けられる。……自分が何をしているのか解っているのか、こいつは。

自分を泣かせている原因で、張本人なんだぞ、オレは。オレのソレは。
それをあろうことに、お前。

つい加減できずに突き挿してしまう。類は大きく悲鳴のように喘いで背を反らした。一際強く締められて、類が絶頂したことを悟る。

それでも止めることなどできなくて、貪るように類の身体を掴み、腰を押し付けた。待って、と制止を求める声がきこえても止まれない。次第に類も快感の渦にのまれて、互いの激しい吐息しかきこえなくなる。

「………………ッ、」
「あ、アアッ!! 〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

精を吐き出した瞬間類もイき、ふたりして荒い呼吸を繰り返す。


ズルリ、と類のなかから抜き出して、ゴムを取り外し捨てた。類はまだ身体を震わせて、快楽の余韻に浸っている。その目尻に指を這わせて、涙を拭った。
今日も随分と泣かせてしまった。

「ふふ」
「ん?」
「いや、今日も司くんにたくさん泣かされてしまったなぁ、と思ってね」

そう恥ずかしそうに微笑む類にたまらず、唇にキスを落とした。