彼の手の平は思っていたよりも熱かった。酔っているのがあるだろう。だが第一に、この状況に興奮しているのだ。そう思いたい。首にあてられた指先に、さらに擦りつけるように頭を揺らす。酔っている。自分も、彼も。酔わせたのはどちらだっただろう。酔おうと言ったのはどちらだったか。呼気を吐き出した。熱い。自分も興奮しているらしかった。
「築島さん」
「……ここがいいならここでするが」
「いや、ベッドにしてください」
「わかった」
ソファに腰掛けていた僕を軽々と横抱きにして、彼は歩き出した。この状態を見るに、僕のほうがよっぽど酔っているらしい。何杯飲んだかはもうまったく覚えていない。
「つきしまさぁん」
「なんだ」
「ハハハ」
「笑い上戸か」
あ、笑った。