築島さん3

幸せすぎてどうにかなりそうだ。キスもできるセックスもできる、付き合うというのはそういうことで、思いが通じ合ってるからこそ抱き合い触れあうことができる。恋人らしく指を絡ませることも。ああ幸せだ。あの丸い額に口付けて、至近距離で瞳を覗き込んで、そうすると睫毛が揺れるのがわかる。それができる瞬間、一瞬一瞬が大事で、大事で、一大事だ。なんてことだろう。信じられるだろうか。疑う度に窺うように手を伸ばすと相手は気が付いてどうしたのかと疑問を投げかけてくれる。向こうから近付いてきて、手の行方を探ってくれる。触れるか、触れまいか、迷って、触れたときに、笑ってくれる。こんなことがあっていいのだろうか。頬を抓らずとも現実だった。

「築島さんって全然笑いませんよね」
「そうか?」