書き出し.meまとめ

銀時と新八 (未来捏造/万事屋営んでるいい歳した坂田銀時と道場主の志村新八師範)

「そんな怖い顔しちゃって」
「ふざけないでください銀さん、真剣勝負ですよ」
「わァかってるって」
真剣じゃなくて竹刀と木刀だけどな。と付け足すとまた怒られそうだったので黙って足を踏み込む。

「あ、」
「あ」
カラン、と渇いた音を立てて道場の床に木刀が転がる。バランスを崩して、ゆっくりと視界が下がっていった。尻もちをつく。
「ぎ、銀さん大丈夫ですか?!」
「あーへいきへいき」
木刀を掴もうとして、腕に力が上手く入らないことに気がつく。あんだけ長い時間打ち合いしてたら痺れるわな、と納得もするし、昔はそんなにすぐ痺れることなんてなかったと懐古もする。日々自身の衰えと共に生活して慣れきってしまった自分とは違って、新八は大層目を開いて驚いた顔をしていた。
「……志村師範、ちょっとここいらで休憩しない? 八つ時だし銀さん甘いモン摂取しねぇと」
体が思うように動かなくて、と冗談で続けようとしたのに、あんまりにも強い視線に口を動かしづらくなった。黙って、肩の力を抜かしながら笑む。そんな怖い顔しちゃって。

心配しなくても、銀さんは、まだまだ全然やれるよ。
「……この前門下生のお土産でもらった饅頭がありますから、姉上の淹れたお茶と一緒に、三人で食べましょう」
「ああ」
「終わったら、また稽古つけてくださいね銀さん」