書き出し.meまとめ

お登勢一家 (キャサリン結婚詐欺話の外道ローンから銀さんが帰ってきた後の様子妄想)

「あ!」
新八が声をあげた。スナックにいた面々が開かれた戸口に視線を集める。
「銀さん、おかえりなさい」
「……何だよ、揃って」
「長谷川さんが銀さんが急にいなくなったから念のために、って店に来て事情を話してくれたんです」
「水臭いアル銀ちゃん」
神楽がジトっと銀時を見つめた。怒っているようにも、安心しているようにも見える。銀時は目を逸らしてガシガシと髪を掻いた後、溜め息を吐いた。
「どうせこっそりとここに通帳だけ置いてこうとしたんだろう」
カウンターで煙草を吸うお登勢が呆れた声で言った。優しい口調だった。
「ばかな奴だね」
「銀時様、お登勢様含め私たちはずっと待っていたのですよ」
たまはそう言い、微笑んだ。
「ご無事で何よりです」
「こいつがな」
銀時が、憎らしい笑顔で懐から誰かの預金通帳を取り出した。新八と神楽に笑顔が灯る。
「俺ァ汚れた着物着替えてくるけど、バーさん、アンタはどうする」
「……そうさね、私も外に用があるから、一枚羽織ってくるとするよ」
お登勢は店の奥に引っ込もうとする前に、立ち止まって言った。

「色々あって疲れたから、どこぞの店で一杯ひっかけてこようと思うのさ。アンタらもついてきたいのなら、勝手にしな」

母は娘を迎えに行く。